「社会参画」という言葉を耳にする機会が増えています。
「でも、『社会参画』って何だろう? どんなことをすれば社会参画になるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
内容
- 社会参画とは?簡単にわかりやすく解説
- 社会参加と社会参画の違い
- 社会参画への抵抗が生じる理由と解決策
- 自分に合った活動の具体例
私は、人材育成コンサルタントやカウンセラーとして、あるいは議員の妻、また介護に携わる主婦としての日々を送ってきました。
そんな経験から「社会」と「個人」の関係性について考えてみました。
社会参画とは?簡単にわかりやすく解説します
社会参画の基本的な意味
私たちは社会という大きなつながりの中で生活しています。
その一員として、より良い社会づくりに貢献することが「社会参画」です。
社会参画は特別なことではない
「社会参画」というと、「大きなことをしないといけない」「ボランティアグループなどに所属しなくてはならない」と感じるかもしれませんが、そうではありません。
社会参画の第一歩は、日常の小さな行動から始まります。
たとえば、以下のような行動も立派な社会参画です。
これらは、社会参画「活動」として他者から評価されることは少ないかもしれませんが、社会参画「意識」はあると言えるでしょう。
こんな風に、社会参画は、誰か特別な人だけが行うものではなく、私たち一人ひとりが担える役割なのです。
SNSを例に、社会参加と社会参画の違いを解説
たとえば、同じSNSでの投稿でも…
このように、意図や責任感によって社会参加と社会参画が分かれるんですね。
2つの違いは明確な線ではない
「社会参加」と「社会参画」、実は、この2つに明確な境界線があるわけではありません。
どちらも大切な行動ですし、社会参加がきっかけで社会参画に進むこともあります。
たとえば、最初は地域のお掃除に参加するだけだった人が、「もっとゴミを減らすために新しい仕組みを提案してみたい!」と思うようになるかもしれません。
こうして社会参画にステップアップしていくんです。
境界線が曖昧であることのメリット
境界線が明確でないことは、メリットもあります。
参加が参画に成長する可能性
最初は「社会参加」のつもりで始めた活動が、やがて「社会参画」に進化することはいくらでもあります。
たとえば、SNSでの発信が大きな反響を呼び、社会に影響を与える責任を感じるようになると、その人の行動は自然に参画の域に達していくでしょう。
広い層を巻き込みやすい
境界線が柔軟であることは、社会参画のハードルを低くしています。
「参画」へのハードルが高い場合、多くの人が最初の一歩を踏み出しにくくなりますよね。
曖昧さを維持することで、より多くの人の「参加」「参画」が可能なのです。
表:社会参加と社会参画の違い
表にまとめたものもご覧下さい。
項目 | 社会参加 | 社会参画 |
---|---|---|
目的 | 関わること自体が目的 | 社会の課題に対して改善や問題解決への貢献が目的 |
主体性の程度 | 受動的な場合も含む(例:誘われたから参加してみた) | 主体的で積極的な行動が求められる |
活動の範囲 | 社会にプラスになる事を願って、無理なく行動してみる | たとえ一人で行う事であっても、社会への影響を意識して活動する |
求められる役割 | 参加者の一人として行動 | 責任を持って、なぜ、何のために、どのように、経費をどのように捻出したらいいのか、などを考えた活動 |
具体例 | 地域の清掃活動やイベントに参加する | 自治会役員、政策提案、NPO運営など、責任ある立場となる |
上記のように、「参加」と「参画」では、活動に取り組む姿勢が、ちょっと違うんですね。
たとえば、町内会の活動に参加する、地域清掃に協力する、募金活動をする、といった「社会参加」行動も、役員や中心メンバーとして取り組むと、「社会参画」となるでしょう。
また、自分から積極的に社会問題に取り組むグループを設立したり、運営側となって活動する場合は、まぎれもなく「社会参画」です。
社会参画への抵抗が生じる理由と解決策
社会参画として、様々な組織や団体から、参加を求められることも多いでしょう。
でも、その時、なんとなく気が進まないこともあるはずです。
それは、なぜなのでしょうか。
既存の組織に魅力を感じない
既存の組織に対して「活動内容に魅力を感じない」「人間関係が合わない」と感じる人は少なくありません。
抵抗を感じる理由
特に、地域のボランティア団体や社会参画活動に参加しようとすると、以下のような不安を覚えることがあります。
既存組織の運営側の課題
私は、人材育成コンサルタントとして、地域のボランティア組織をサポートする機会が多くありました。
その中で一番多かったご相談が「後継者がいない」という問題です。
特に高齢化が進んでいる団体では、「若い人に入ってほしい」というニーズは多いのです。
具体的には、車を運転してほしい、パソコン作業や荷物持ちをしてほしいという要望です。
この場合、残念ですが、新しい参加者にとって、積極的に入りたいと思えるような魅力を打ち出せていないことが課題です。
とはいえ、既存の会員にとっては「丁度良い活動」であることも少なくないので、先細りすることを前提に、活動のしかたを見直すことも現実的な課題解決となるでしょう。
解決策
既存の団体に所属することに抵抗がある場合は、一人でも、あるいは気の合う仲間と気軽にできることから始めるのがおすすめです。
例えば
社会参画の場は「既存の団体に参加すること」とは限りません。
新しい担い手となることで、あなたの価値観やライフスタイルに合った活動を始めることもできるのです。
社会全体の視点で見れば、社会参画の担い手や団体が、後継者不足などの理由で、現れては消えていくのも、致し方ないところがあります。
「何か役に立ちたい」、そう思う人が、一人二人と増えていく。
それが、社会全体を変えていく大きな力となるでしょう。
自分のライフスタイルに合った活動が無い
社会参画活動の多くが、特定の時間帯や場所で行われるため、参加したくても、自分のライフスタイルでは難しいと言うケースもあるでしょう。
抵抗を感じる理由
特に、夜勤や休日出勤が多い人、介護や育児に忙しい人にとっては、既存の活動に参加するのは難しいものです。
また、前述したように、「社会参画はどこかの団体に所属しなければできない」と考えている人も多く、このような固定観念が、行動を起こすハードルをさらに高めていると言えそうです。
解決策
社会参画は、団体に所属しなくてもできます。
一人で自分のライフスタイルに合わせて、自分のできる範囲で行う活動も、立派な社会参画です。
たとえば
SNSは、批判で終わらない姿勢が大切
SNSは、批判的なメッセージが少なくありません。
環境や人権、政治など、社会問題への関心を持つことはとても素晴らしいことなのですが、批判に終始している発言姿勢は、むしろ社会環境を悪化させている一面があると言えそうです。
社会に対して「批判で終わらない姿勢」を持ち、自分なりの提言などをすることで、価値ある社会参画になるでしょう。
ポイント!
社会参画活動は、地域の人間関係に深く結びついていることが多いため、地域の団体に所属しない場合は、「参加しない」という意思表示は丁寧に行いましょう。誤解や摩擦を生まないようなコミュニケーションは大切です。
地域の人間関係への配慮は、お互いに気持ちよく暮らすための「社会貢献」と言えるかもしれません。
活動にお金がかかりすぎる
抵抗を感じる理由
社会参画活動の中には、会費や寄付金が必要な団体も少なくありません。
この金銭的負担が、社会参画へのハードルになっていることもありますね。
特に若い世代や経済的に余裕のない人にとって、大きな障壁でしょう。
お金の課題は、運営側の課題
参加者からは、「お金がかかるので活動に参加できません」とは言いにくいものです。
もし、活動する人が減っている団体があれば、参加者への金銭的負担が原因となっていないか見直すとよいでしょう。
これは、社会参画団体を運営する側が配慮すべき視点と言えるでしょう。
活動資金調達に、補助金やクラウドファンディングを活用することも検討してみるとよいでしょう。
「お上が主導する」社会参画活動から脱却し、多様性のある活動や自主性の向上を図るためには、制度改革が重要となります。このためにも、政治の力を上手に生かしたいものです。
解決策
社会参画活動は、金銭的な負担を伴う活動がすべてではありません。
一人でできる活動や、金銭的な負担が少ない活動を選ぶことで、社会参画はもっと身近になりますね。
もちろん「お金で貢献する」というのも素晴らしい選択肢ですが、無理に合わせる必要はないのです。
金銭的な負担を避ける具体的な方法には、次のようなものがあるでしょう。
お金さえ出せばいいと言うのは、社会貢献とは言えないでのは?
このご批判は、よくありますね。
ただ、お金も、労力も知恵(スキル)も大切、これが結論です。
もともと海外では、特にキリスト教圏では、お金持ちが慈善活動を行う文化が根付いています。彼らが、時間や労力よりも、高額のお金を提供することで、社会貢献が実現できる側面はありますので「お金の提供」は、とても尊い行為です。
また著名人などが社会参画することは、実際の労力は負担できなくても、その影響力が広告塔となり、広く社会に影響をもたらすことにもつながります。
よりよい社会のためには、お金や、労力や知恵(スキル)など、自分に合った手段で行う事が大切です。
自分にできる社会参画とは?具体例をみつける視点
社会参画の第一歩は「私」という視点から
社会参画を考えるときに大切なのは、「私には何ができるだろう?」と考えることです。
これは、主体的な考え方の第一歩です。
たとえば、「社会が悪い」「政治が悪い」と嘆いているだけではなく、「今の環境の中で、『私』にできることは何だろう?」と考えてみてはいかがでしょう。
このように「私」を主語にして考えてみると、具体的な行動が見えてきますよ。
社会参画の具体例を探す視点
では、自分にできる社会参画を見つけるには、どんな視点が必要なのでしょうか?
以下の3つの視点を意識することをおすすめします。
身近な環境でできることから始める
まずは、身近な環境に目を向けてみましょう。
たとえば、地域のイベントやボランティア活動に参加してみるのはどうでしょうか?
学校や職場の活動に積極的に関わるのもおすすめです。
他にも以下のように、一人でできることもありますね。
自分の得意分野を活かす
自分の得意なことを活かして社会に貢献する方法を考えましょう。
自分のスキルを社会参画に結びつけることは、やりがいもあり、手ごたえも感じやすいです。
社会問題に目を向ける
少し視野を広げて、社会全体の課題に目を向けてみるのも良いでしょう。
環境問題や地域の高齢化といった課題に関心を持ち、自分にできる範囲で行動してみるのです。
社会参画は「楽しむこと」が大切
社会参画を無理なく続けるためには、「楽しむこと」は大切です。
義務感だけで取り組むと、どうしても続かなくなる傾向は否めません。
「これなら自分も楽しくできそう」と思えることから始めてみるのがおすすめです。
また、仲間を見つけることも重要ですね。
共通の目標を持つ仲間がいると、活動はより楽しく、継続しやすくなりますよ。
まとめ
社会参画とは、特別なことではなく、私たち一人ひとりができる小さな一歩の積み重ねです。
「私には何ができるだろう?」と主体的に考え、行動を起こすことで、社会は少しずつ変わっていきます。
私たち自身が自分らしい「社会参画」の一歩を見つけること。
それが、未来のより良い社会づくりにつながっていくでしょう。
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