今回のご質問はこちらです。
ある日突然、職場で先輩の立場になってしまいました。
でも正直、すごく不安なんです。
後輩に、どう仕事を任せていけばいいのか、想像がつかなくて。
頼むことは何とかできますが、そのあと、どうしたらいいのかわかりません。
新しい立場を任されたとき、多くの人が感じるのは「責任の重さ」と「見えない不安」です。
けれど、その不安は、工夫しながら“安心”へと変えていくことができます。
この記事では、人材教育の現場で私が実際にお伝えしていたことから、先輩や上司になったときに心がけたい2つの工夫をお伝えします。
目次はクリックで開きます
部下や後輩に仕事を頼んだ後の「不安」を軽くする
仕事を頼んだのはいいけれど、連絡が来ないと落ち着かない。
「今、どうなってるのかな」「ちゃんと進んでるかな」と、つい考えてしまう。
そんな気持ちは、誰にでもあるものです。
けれど、不安の多くは「見えない時間」から生まれます。
ようやく報告があった時には、相手が勘違いをしていることに気がついたり、納期に間に合いそうに無かったり…。
そんなことにならないようにするための小さなヒント、まずは一つ目です。
仕事を頼んだあと、「しばらく音沙汰がない…」と不安になったことはありませんか?
頼む時に、最初の一歩を指定しておくのが効果的です。
「とりあえず30分やってみて。その時点の考えや見通し、連絡してね」と伝えておくだけで、結構、変わります。
🌹人材育成業時代の覚え書き pic.twitter.com/uBBIOQdKkY
— 山辺千賀子/やまべちかこ (@white7pearl) August 4, 2025
最初の一歩を指定する
不安な時間を短くするために、まずできるのが、「最初の一歩を共有する」こと。
「まず30分やってみて、その時点の考えや見通しを教えてね」
たったこれだけで、相手も動きやすくなり、こちらの不安も軽くなります。
時間設定は状況によって変えてくださいね。
「午前中のうちに報告してね」「今日の終わりに聞かせて」など、ケースバイケースでアレンジしてください。
ポイントは、あなたが出した指示に従って、
後輩や部下に、「ひとまずやってもらう」
設定したタイミングで、部下の仕事ぶりを確認し
「その時点の見通し」を、あなたが把握することです。
確認することの例
・自分の指示が伝わっていたかどうか
・後輩や部下がしようとしていることの方向性は間違ってないか
・後輩や部下にとって、どの程度の難易度か
・サポートが必要かどうか
節目”の共有で見通しを合わせる
指示を出す時点で、最初の確認の節目をあらかじめ決めておけば、方向性を早めに修正できます。
心理学では、「途中経過の可視化」が安心感を生むといわれています。
人は、何かが“見えている状態”に強い安心を感じるのです。
早期確認がもたらす安心
小さな報告や相談がしやすい雰囲気をつくることで、
お互いの信頼関係が自然に深まっていきます。
「見守る」姿勢が伝われば、相手も安心して力を発揮できるようになります。
「自分だけの誇り」を手放す勇気
「自分が抜けたら、この仕事は回らないかもしれない」
そんな気持ちを抱えたことはありませんか。
それは努力を重ねてきた証、プライドもあるはずです。
けれど、その誇りがいつのまにか「手放せない重荷」に変わってしまうことも多いのです。
「自分が抜けると不安」な事業。
これまで一人でまわしてきた誇りを、他の人でもできる【仕組み】に変える知恵が必要になっているはず。
“現状打破”には、確立してきたプライドを、捨てる勇気が大切になります。
🖥️人材教育業の覚え書き pic.twitter.com/pTwNve60Od
— 山辺千賀子/やまべちかこ (@white7pearl) August 24, 2025
「自分でなければ」と思うあまり、仕事を抱え込みすぎる。
それはチームの停滞や、人材育成の機会損失にもつながります。
仕組み化というやさしい手放し方
誇りを手放すとは、自分の立場を越えて、組織の“仕組み”に変えることです。
マニュアルやチェックリストを整えるのは、「誰がやっても同じ品質を保つ」ためのやさしい工夫。
あなたが築いた誇りを、誰かの土台として引き渡すことで、組織としてステップアップができるのです。
誰かの土台として引き渡すとき、自分の立ち位置をなくすような気持ちになるかもしれません。
けれど――ほんとうの意味で「生き残る」のは、ひとりの頑張りではなく、知恵を分かち合える人なのだと思います。
世の中を見渡せば、次の世代が、前の世代を土台にして進んでいくところにしか、未来はありません。
そしてその未来の中で、あなたの仕事も、あなたの思いも、確かに生き続けていくのです。
組織の未来へ知恵を引き継ぐ
「自分でなければできない」から「誰にでもできるように」
その変化こそ、上司としての成熟の証です。
あなたの知恵や想いが、組織全体に循環しはじめる瞬間なのです。
まとめ|不安を軽くするためのポイント
本記事のポイントです。
任せることには、いつも少しの勇気が要ります。
でもその勇気の先には、必ず「信頼」が育ちます。
セネカの言葉を借りれば――
「恐れは、行動によってしか消えない。」
先輩や上司として歩み始めるときの小さなヒントとして、心に留めていただけたら嬉しいです。